郷土料理いしや

金沢市内の静かな通りに佇む郷土料理の店。外観は凛とした趣を湛えつつ、細部にまで心を配った設えから、店主の美意識と気配りが伝わってくる。控えめながらも深い存在感があり、通りを行き交う人の足をふと止めさせる。

店の入口を飾る暖簾は、まるで絹のように薄く、風に揺れるたびにその柔らかな質感が際立つ。そこにあしらわれた、わずかに揺らぎを含んだ手書き風の文字は、素朴でありながら上品な味わいがあり、訪れる人の目を引きつける。

重厚で引き締まった建築の中に、やわらかな暖簾がふんわりとした余白を添えている。構造の持つ直線的な力強さと、布がもたらす自然な揺らぎとが互いを引き立て合い、静けさの中に緊張感と安らぎが同居するような、美しい調和が生まれている。